東京ひとりモーニング

東京在住30代OLの外食記録です。

最近のこと

これまでの人生で「絶対に子どもが欲しい」と思ったことは未だかつて一度もないけれど、「いつか私にも子どもが欲しいと思える日がくるかも」という気持ちをモヤモヤさせながら生きていたらあっという間に30代前半。

 

夫婦で「そのうち欲しいね〜」なんて会話を繰り返したところでまったくできる気配もなく。

子どもをつくる予定がゼロではないならさすがにそろそろ何かアクションを起こさなければと、重い腰をあげていざ予約して行ってきた。不妊治療外来。

 

「まずは検査でもしてもらって、結果がわかってから治療をどうするか決めればいいか」と、健康診断に行くくらいのつもりだったのだけれど、クリニックに足を踏み入れてびっくり。

何この、試験会場のようなピリついた雰囲気。

待合室ではたくさんの女性がひしめき合うように順番待ちをしていて、みんななんか険しい表情…。

場違い感を悟り、息を潜めて自分の番号が呼ばれるのを待つこと約2時間。予約の意味とは。

 

問診室に案内され、無機質な感じの男性医師と圧の強そうなベテラン看護師から不妊治療の流れについて説明を受けながら渡された資料に目を落とすと、そこには難しそうな治療項目の名前とその治療にかかる費用の金額がずらっと並んでいて、あれ、私がこれから作ろうとしているものは科学技術を駆使したクローンかなんかなんだっけ?と錯覚してしまうような気分になった。

 

一通りの説明が終わり、「それで、どのような治療をご希望ですか?」と聞かれ「希望…?」と固まる自分。特に準備もせずになんとなく受けにきた入社試験の面接で「志望動機を教えてください」と言われたときのような冷や汗が出る。

「あの、何から始めたらいいのかわからないで、とりあえず来てしまって…まず検査をしていただきたいのですが…」とモゴモゴ答えると、男性医師は困ったようなあきれたような表情で「検査と治療は同時進行になりますので、検査をしてしまうと治療も始まってしまうんです」と説明してくれた。このクリニックを紹介してくれた友人が「不妊治療はいったん始めてしまえばベルトコンベアーに乗って進んでいくようなものだよ」と言っていたことを思い出した。

 

説明を聞いて、「そうなんですね…」と返事をしたきりそれ以上は何も答えられず、無言の時間が流れる中、「あなた、本当に子どもが欲しいんですか?お金と時間をかけて、さらには国の保険まで使って不妊治療を始める覚悟があるんですか?」と問われているような気がして、そのとき私はそんな意志も覚悟も根性も自分の中のどこにもないことをはっきり自覚した。

 

そこまでして子どもなんて全然欲しくない。月経周期に振り回されながら通院する時間も、専門的な治療にかけるお金も、全部他の楽しいことに使いたい。その時間で漫画読んだり、そのお金で焼肉食べたりしたい。国の保険だってもっと真剣に取り組んでいる人のために使われたほうがいい。

 

結局、家に帰ってから旦那さんと話し合い、先のことはわからないけど今は不妊治療には手を出さず、普通に生活しながら自然の流れに任せようという結論に至った。理解のある旦那さんで大変有り難い。

 

この記録を5年後、10年後の自分が読み返したら泣いて後悔することがあるかもしれないけれど、時間もお金も有限なのだから、存在するかもわからない未来の自分のことなんて知らねえよ。今の私は今の自分の幸せを最優先することにする。